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HTTP通信における冪等性と安全性、冪等な環境構築スクリプトとは何か

業務で冪等性(べきとうせい)に関する話題が出ていて、そういえば最近読んだ『Webを支える技術』 に書かれていたなと思って、改めてブログにまとめようと思う。

例のごとくchatGPTさんに聞いてみた。こういった汎用性の高い話は、chatGPTに聞くようにするとMECE(漏れなくダブりなく)な内容を答えてくれるので積極的に使っていきたい。

chatGPT-4の回答

HTTP通信における冪等性と安全性について詳しく説明してください。GET、PUT、POST、DELETEリクエストを例にしてください。

HTTP通信では、冪等性(idempotence)と安全性(safety)は、メソッドの振る舞いを理解し、適切なリクエストメソッドを選択するための重要な概念です。

冪等性(idempotence)とは、同じ操作を何度実行しても、最初の実行と同じ結果になることを指します。冪等性があるメソッドは、リクエストが途中で失敗した場合や、クライアントがリクエストの完了を確認できなかった場合に、再試行が安全であることを意味します。

安全性(safety)とは、メソッドがサーバー上のリソースに対して何も変更しないこと、つまり読み取り専用であることを指します。安全なメソッドは、リソースに対して副作用を起こさないため、何度実行しても問題ありません。

それでは、GET、PUT、POST、DELETEリクエストを例に、冪等性と安全性について説明しましょう。

1. GETリクエスト
冪等性: あり
安全性: あり
GETは、サーバー上のリソースを取得するためのメソッドで、リソースを変更しないため安全です。また、何度リクエストしても同じリソースが返されるため、冪等性もあります。

2. PUTリクエスト
冪等性: あり
安全性: なし
PUTは、サーバー上のリソースを更新または作成するためのメソッドです。リソースの内容が変更されるため、安全ではありません。ただし、同じリソースに対して同じデータを送信すれば、結果は同じになるため、冪等性があります。

3. POSTリクエスト
冪等性: なし
安全性: なし
POSTは、新しいリソースを作成するためのメソッドで、リソースの状態を変更するため安全ではありません。また、同じリクエストを繰り返すと、新しいリソースが何度も作成される可能性があるため、冪等性もありません。

4. DELETEリクエスト
冪等性: あり
安全性: なし
DELETEは、サーバー上のリソースを削除するためのメソッドで、リソースを変更するため安全ではありません。ただし、一度リソースが削除された後、同じリソースに対してDELETEリクエストを繰り返しても、それ以上削除できるものはないため、結果に変化がなく冪等性があります。

以上のように、HTTPメソッドにはそれぞれ冪等性と安全性の特性があります。これらの特性を理解することで、適切なリクエストメソッドを選択し、効率的なWebアプリケーションの設計や開発が可能になります。

冪等性はどんな時に意識するものか

安全性については、リソースを変更するかどうかという意味で、理解が容易いが、冪等性は直感的に分かりづらい概念だと思う。

実務で冪等性について触れられたのは環境構築スクリプトに関する話で、一度スクリプトを走らせて途中で失敗した時、そのスクリプトが冪等であれば再実行しても問題ないし、冪等でないなら安全に再実行することはできないと判断できる。ここでふとDocker buildコマンドに--no-cacheオプションを付ける理由は、冪等性を確保するためなのかなと思って、またchatGPTに聞いてみた。

Docker buildコマンド実行時にnocacheオプションを付ける理由は、冪等性を確保するためでしょうか。

docker build コマンド実行時に --no-cache オプションを付ける理由は、冪等性を確保するためというよりも、ビルドプロセスを完全に再実行し、キャッシュに依存しないビルドを行うためです。

Dockerは、ビルドプロセスの各ステップごとにキャッシュを作成します。これにより、変更があったステップ以降のみビルドを行い、キャッシュを利用してビルド時間を短縮することができます。しかし、このキャッシュ機能は、外部リソース(例えば、リモートリポジトリからのパッケージの取得)に依存するステップがある場合、古いキャッシュを利用してしまい、最新のリソースが反映されないという問題が生じることがあります。

--no-cache オプションを使用すると、キャッシュを無視し、すべてのビルドステップが最初から実行されます。これにより、最新のリソースを取得し、期待される状態のイメージがビルドされることを確実にすることができます。

つまり、--no-cache オプションは、冪等性を確保するというよりも、キャッシュに依存せず、最新の状態でのイメージビルドを確実にするために使用されます。

古いキャッシュを利用してしまい、最新のリソースが反映されないという問題が生じる

この記述からやはり冪等性を確保するためなんじゃないかという気もしたが、そもそも常に更新されうる外部リソースに依存している時点で、docker buildコマンドには冪等性がないのかもしれない。そうなる場合、Docker環境を構築するためのスクリプトを冪等にするのは事実上不可能なのでは?という気もしてくる。バージョン指定を固定すれば実現できたりするのかな。

というわけでまたchatGPTに聞いてみた。

Docker環境を構築するスクリプトを冪等にすることは可能ですか

Docker環境を構築するスクリプトを冪等にすることは可能です。冪等性を持たせるためには、スクリプトが繰り返し実行されても同じ結果が得られるように設計する必要があります。以下に、冪等性を確保するための一般的な方法をいくつか示します。

1. コンテナの起動前に既存のコンテナを削除する
Dockerでコンテナを起動する前に、同じ名前のコンテナが既に存在する場合は削除しておくことで、スクリプトが繰り返し実行されても同じ結果が得られます。

docker rm -f container_name || true
docker run --name container_name ...

2. Dockerイメージのビルド時に --pull オプションを使用する
Dockerイメージをビルドする際に、--pull オプションを使用することで、ベースイメージを常に最新のものに更新できます。これにより、スクリプトの実行結果が常に最新の状態であることを確保できます。

docker build --pull -t image_name .

3. Docker Composeを使用する
Docker Composeは、複数のコンテナを定義し、管理するためのツールです。docker-compose.yml ファイルにサービスとしてコンテナを定義し、docker-compose up コマンドで環境を構築することができます。Docker Composeは、環境の状態を管理するため、冪等性を持った環境構築が可能です。

4. スクリプトや設定ファイルの変更を最小限にする
スクリプトや設定ファイルの変更が少ないほど、冪等性を維持しやすくなります。不要な変更を避けることで、環境構築の安定性を向上させることができます。

これらの方法を適用することで、Docker環境を構築するスクリプトを冪等にすることが可能です。ただし、実際の状況や要件に応じて、最適な方法を選択することが重要です。

そうかたしかに--pullオプションでコンテナを生成するimageを指定すれば、常に同じ結果が得られると考えてよさそう。マネージャーがpullでビルドするようにスクリプトを修正してくださいと言っていたのはこういうことだったのかも。ただ、同じDocker imageを元にしても中身の各ソフトウェアのバージョン(依存関係)も常に同じ結果になるのかが疑問だ。その点を聞いてみる。

1つのimageから生成されるコンテナは、誰がどの環境で生成しても、中身のソフトウェアのバージョンや依存関係も常に同じと考えてよいですか。

はい、1つのDockerイメージから生成されるコンテナは、誰がどの環境で生成しても、中身のソフトウェアのバージョンや依存関係も常に同じと考えてよいです。Dockerの目的の一つは、開発環境と本番環境の一貫性を確保することです。Dockerイメージには、ソフトウェア、ライブラリ、設定ファイル、実行環境などが含まれており、イメージからコンテナを生成する際にこれらの情報がそのまま利用されます。

Dockerイメージはレイヤー構造を持っており、それぞれのレイヤーはDockerfileの命令に対応しています。イメージを生成する際、Dockerはこれらのレイヤーを一つずつスタックし、最終的なイメージを構築します。この仕組みにより、同じDockerイメージを使用する限り、生成されるコンテナの内容は同じになります。

ただし、Dockerイメージ内で動的に変更される設定や、ホストマシンからマウントされるデータボリュームなど、コンテナの実行環境に依存する部分も存在します。これらの要素はコンテナ間で異なる可能性があります。しかし、Dockerイメージのソフトウェアや依存関係に関しては、同じイメージを使用してコンテナを生成する場合、常に同じと考えてよいです。

この回答を信頼するなら、あるDocker imageをpullしてbuildするようにすれば、コンテナの生成に関しては冪等なスクリプトになると考えてよさそう。

まとめ

chatGPTから回答を得る→新たに生じた疑問を聞いてみるというサイクルを繰り返すと、効率よく学ぶことができるんだなと分かった。こんな感じで、また実務で生じた疑問をテーマに記事を書いていきたい。